回復期リハビリテーション病棟Q&A
- Q 1日で何時間くらいリハビリをしてもらえますか?
- Q どれくらいの期間入院するものなのですか?
- Q どんな患者さんが多く入院していますか?
- Q どんなリハビリをしてくれるのですか?
- Q 装具を作った方がよいと聞いたのですが、費用はどれくらいかかるものですか?
- Q 気管切開をしているし全身状態も不安定ですが、リハビリをしても大丈夫でしょうか?
- Q 飲み込が悪く胃瘻(いろう)を勧められているのですが、どうしたらよいでしょうか?
- Q 認知症と診断されているのですが大丈夫でしょうか?
- Q 意識もうっすらで、あまり反応もありません。こんな重度な状態でリハビリができるでしょうか?
- Q 合併症をたくさん持っているのですが、その治療も同時におこなってくれるのでしょうか?
- Q ボトックス注射が麻痺に良いと聞いたのですが、そのような治療はしていますか?
- Q 家に帰るのに家の改修等が必要な場合は支援してくれるのですか?
- Q いきなり家に連れて帰るのは不安なのですが・・・
- Q 退院後の生活が不安なのですが・・・
- Q もう90歳を超えているのですが、リハビリをしてもよくなりますか?
- Q 復職を希望なのですが大丈夫でしょうか?
Q 1日で何時間くらいリハビリをしてもらえますか?
A リハビリスタッフによる個別のリハビリは、疾患や状態によって医師が診察の上どれくらいの時間リハビリをするか決定します。 回復期リハビリテーション病棟では、脳卒中のリハビリで1日最大3時間、整形外科の疾患で1日最大2時間のリハビリを行っています。
Q どれくらいの期間入院するものなのですか?
A 疾患や症状、合併症の程度によって入院期間は様々です。当院の平均入院日数は大腿骨頸部骨折で30日程度、脳卒中で60~70日程度となっています。 基本的にカンファレンスを重ねながら、総合的に判断し、医療チームで決定します。早期によくなることは先に述べた廃用症候群の予防にもつながりますし、 経済的な負担も軽減できます。退院後は外来リハビリや介護保険サービスの紹介もしていますので安心して在宅生活への移行が可能です。
Q どんな患者さんが多く入院していますか?
A 当院は整形外科病院の標榜ですが、実際、回復期リハビリ病棟には脳卒中の患者さんが多く入院されています。 脳血管疾患の患者様と整形外科疾患の患者様の比率で言えば、約70~60%は脳血管疾患の患者様です。 脳卒中では脳梗塞が最も多く脳卒中の約60%以上を占めています。先に述べた高次脳機能障害や嚥下障害などの症状を持った方も多く入院されています。 その他整形外科疾患では転倒した際に受傷する大腿骨頸部骨折が最も多く、当院で手術を行い、すぐにリハビリを開始します。 次いで背骨の骨折(脊椎圧迫骨折)が多く、腰にコルセットを巻いて早期より活動的なリハビリを行い寝たきりにならないようにします。 股関節や膝関節の痛みが悪化し、手術(全人工関節置換術)を受けた方も歩行能力や生活動作を身につけるために術後のリハビリを行っています。 脊髄の手術や脊髄損傷等の患者様もいらっしゃいます。
Q どんなリハビリをしてくれるのですか?
A 疾患によって様々ですが、現在の状況と発症、受傷前の状況をお伺いしながら、目標を立てていきます。障がいが重度の場合は寝返りや起居、 座る訓練から開始します。もちろん筋力強化や柔軟性向上の訓練は行いますし、バランス訓練や先にあげた高次脳機能障害に対する訓練や、言葉の訓練も行います。 寝起きの訓練から食事を摂る訓練、トイレや入浴の訓練。また生活状況に応じては調理訓練や洗濯・掃除等の家事動作訓練も行います。 復職を目指される方はお仕事内容をお聞きしたうえで、例えば事務職の方であれば筆記や電話対応の訓練や通勤に必要な公共交通機関が使えるか等の訓練も行います。 復学を目指される方は当院のリハビリスタッフが学校へ一緒に出向き、学校環境の調査も行います。退院後農作業をされる方は実際の作業を想定した訓練も行います。
Q 装具を作った方がよいと聞いたのですが、費用はどれくらいかかるものですか?
A 長下肢(ちょうかし)装具と短下肢(たんかし)装具という2種類があります。装具代金は一時立て替え払いで全額装具屋さんにお支払いし、 申請書類を持って役所に提出すると、数か月後に保険自己負担割合を除いたお金が指定口座に振り込まれる形になります。 装具を履いた時に履く靴の値段込です。保険適用後で実際にかかる費用は、長下肢装具で1割負担の患者様で約15,000円程度(3割負担の方で45,000円程度)です。 短下肢装具では1割負担の患者様で約7,000円程度(3割負担の患者様で21,000円程度)となります。 装具は治療を進めるにあたって非常に重要な場合もあります。主治医と相談して作成を決めていきましょう。
Q 気管切開をしているし全身状態も不安定ですが、リハビリをしても大丈夫でしょうか?
A 気管切開をされている方でもリハビリは可能です。リハビリ室に喀痰吸引器、酸素飽和度測定器(体内の酸素摂取量を測定する機械)なども備えており、リスク管理のもとリハビリを進めています。 リハビリ開始前後のバイタルサインのチェックも徹底しており、安心してリハビリができる環境を整えています。
Q 飲み込が悪く胃瘻(いろう)を勧められているのですが、どうしたらよいでしょうか?
A 食べることができない、飲み込が上手くいかず頻繁に肺炎を引き起こす、などの場合は胃瘻を検討する場合があります。胃瘻とは直接胃に管を入れてそこから栄養補給をするものです。1泊2日程度の手術が必要となります。 飲み込の悪い方には最初、経鼻経管栄養(けいびけいかんえいよう)といって鼻の穴から胃までチューブを通して胃に栄養をおくるものです。これなら食べ物が誤って気管へ入るのを防ぐことができます。しかし鼻へのチューブの出し入れは非常に不快です。 継続的に経鼻経管栄養が必要な方には胃瘻を検討することがあります。胃に穴をあけるというと非常に怖いイメージがあると思いますが、胃瘻をしている間に口から食べるリハビリを進めていき、口から食べられるようになったらその穴を塞ぐこともできます。 それぞれにメリットデメリットがあるので、医師と相談しながら決めていきます。
Q 認知症と診断されているのですが大丈夫でしょうか?
A 認知症の診断を受けておられる方もたくさんいらっしゃいます。認知症のタイプもいろいろあります。基準としましては、訓練が継続できるか(歩きましょう、足を動かしましょうなどのことが理解でき、リハビリに参加できるか)、ずっと大声を出す、 暴力行為などがないか等となります。ご不明な点がございましたら相談員に現状をご相談ください。
Q 意識もうっすらで、あまり反応もありません。こんな重度な状態でリハビリができるでしょうか?
A 意識レベルが非常に低く、反応も鈍い重度な方も入院してリハビリをしています。反応が鈍いからと言ってずっと寝たままの状態が最もよくありません。とにかく起こして刺激を入れることです。全身状態を注意深く観察しながら、 積極的に座ったり立ったりの訓練をしていきます。寝た状態からベッドごと起きる機械もあり、足の裏からの刺激も積極的に入れていきます。寝た状態から起こす=重力を感じる姿勢をとる(抗重力位:こうじゅうりょくい)の姿勢をとることが非常に重要とされています。 そうしてまず覚醒度を上げるところからリハビリが始まります。
Q 合併症をたくさん持っているのですが、その治療も同時におこなってくれるのでしょうか?
A 当院には内科をはじめ、整形外科、形成外科と合併症にも対応できる診療科を備えています。徳島大学病院からは脳神経外科、神経内科の医師も来て頂いております。糖尿病や臓器不全の診療も可能です。 突発的に起こる整形外科的疾患や褥瘡治療等においても専門医が対応致します。また万一症状の急変や重篤化が起きても、速やかな連携により急性期病院への紹介体制を取っております。
Q ボトックス注射が麻痺に良いと聞いたのですが、そのような治療はしていますか?
A ボトックス注射は痙縮(麻痺により筋肉が緊張して力が抜けなくなってしまう症状)に対する治療法です。痙縮の治療として主として徳島大学病院の神経内科で行われています。当院では徳島大学病院の神経内科の医師が外来診療医として来られています。 退院後、当院の神経内科を受診し、大学病院で治療を受け、当院の外来リハビリで注射後のリハビリを継続される方は多くいらっしゃいます。ボトックスは緊張を和らげる薬として知られるようになりました。この薬自体は緊張を和らげるだけですので、 緊張を和らげておいてしっかりリハビリをするのが基本です。適応がありますので、お薬の使用には医師の診察の上実施ということになります。
Q 家に帰るのに家の改修等が必要な場合は支援してくれるのですか?
A 必要があれば「入院したとき」、「退院が近づいてきたとき」の2回のお宅訪問を計画します。入院当初のお宅訪問は、スペースや間取り、段差、トイレやお風呂の環境を拝見し、どのような訓練が必要かを検討していきます。 また退院前は患者様と同行して実際動作ができるかどうかの確認や、家屋の改修が必要ならば、建築業者(必要であれば住宅改修線も業者の紹介もしております)も一緒にお宅へ伺い、改修ポイントの打ち合わせをその場ですることも可能です。 家屋改修には介護保険の申請も必要になってきますので、同時進行でこちらのスタッフがお手伝いさせて頂きます。
Q いきなり家に連れて帰るのは不安なのですが・・・
A 当院には退院前のテスト外泊も推奨しています。実際にお宅へ帰ってみて生活できるのか、ご家族様も果たして介護できるのかは不安なところだと思います。テスト外泊を計画し、その評価を基に不十分なところを再度検討したり、 ご家族様を交えたアドバイスをさせて頂いたりしています。
Q 退院後の生活が不安なのですが・・・
A 退院前から介護保険の説明や、社会福祉士が退院後の相談に対応させて頂いております。必要であればケアマネージャー(介護支援専門員)が介護保険サービスの説明や取得手続き等の支援もしています。 また当グループには通所リハビリや訪問リハビリ等のサービスも備えており、ご希望であれば入院中からの見学やスタッフ紹介も行っております。お気軽にお問い合わせ下さい。
Q もう90歳を超えているのですが、リハビリをしてもよくなりますか?
A ご高齢になってもリハビリの効果はきちんと出てきます。脳の神経も、筋肉も使えば成長します。90歳を超えた方でも骨折後手術、リハビリをして歩けるようになってお宅へ帰られています。もちろん良くなるスピードが若い方と比べると遅いのは事実ですが、 した分だけ効果はきちんと出てきます。
Q 復職を希望なのですが大丈夫でしょうか?
A そのとき、どこまで機能が回復しているかによります。また現職復帰の場合は職場の方との話合いも重要です。現職復帰の場合は、職場の方の受け入れが必須になります。その時の機能回復状況、情報等は先方に当院のスタッフがお伝えします。 また高次脳機能障害があれば、その程度によっては職種が限られてくるのは事実です。機械操作や車の運転が必要、経理などお金の計算が困難な場合などはやはり問題があります。現職復帰がどうしても困難な場合は、職業訓練センターと連携を取り、 そこで数か月間職業訓練を受けた後就職される方もいらっしゃいます。職業訓練センターで訓練を受けるのには審査があり、その審査が通る機能レベルに達していなければなりません。詳細は当院スタッフまでお尋ねください。