大腿骨骨折のリハビリ
人工骨頭置換術
高齢になると転倒して大腿骨(太ももの骨)の骨折が多く見られます。当院では人工骨頭、骨接合術といった骨折に対する手術、治療も行っています。 「また歩けるようになって家へ帰りたい」の希望を実現すべく、入院して手術までの間もリハビリを実施します。 リスク管理(深部静脈血栓:足の血が固まり、血栓をつくり、血管内で詰まったり、 剥がれた血の塊が肺や脳に飛んで肺塞栓や脳塞栓を起こすのを防ぎます)と廃用症候群(安静にしすぎて動けなくなってしまうこと)への予防を徹底しています。 また術後翌日よりリハビリを開始し、痛みに応じてですが、すぐに荷重(手術した方の足に体重をかけていく)を促します。 手術した足は安静にすればすぐにやせ細っていきます。早期から歩行や、生活動作の獲得を目指しています。安静は寝たきりに繋がる「害」でしかありません。 どれだけ早く多く動くかが、早く歩けるようになるかの鍵となります。
- 深部静脈血栓(エコノミークラス症候群)
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骨折をしてから手術までの間、手術をしてから歩くまでの間、受傷した足を安静にすることがありますし、痛みで動かせない場合もあります。 これは非常に高いリスクを伴います。この深部静脈血栓症は皆さんにはエコノミークラス症候群という呼び方の方がなじみがあるかもしれません。 足を安静にすることにより、血流が悪くなります。淀んだ水はドロドロしてくるように、血流が悪くなった場所も血液が淀み、 ドロドロしてきて血栓(血の塊)ができやすくなります。それが肺に飛ぶと肺塞栓(肺の血管が詰まると呼吸ができなくなって危険な状態となる)になったり、 脳に飛ぶと脳塞栓(脳卒中と同じ症状)になります。深部静脈血栓症を起こしていないか、術前術後で頻回なチェックが必要です。
この予防としてはしっかり動かすことが最も重要です。寝ている間も空気圧を掛ける足袋をつけて四六時中血流を促します。 術前からリハビリをし、動かせるところはすべて動かします。筋肉を動かすことによってポンプ作用が高まり、血流が良くなります。 我が国において術後の深部静脈血栓症の発症率は1.2~30%とされていますが、当院では術前の方にも積極的なリハビリ、 術後の方は術日当日よりのリハビリを実施し、当院で手術を実施するようになって以来、一度も深部静脈血栓症を合併したケースはありません。